「――どうしよう」
 思わずスマイルは呟いた。孔は再び顔を上げて、不思議そうにスマイルをみつめた。
「なんだ」
「我慢出来ないかも…」
「え?」
 スマイルは孔の体を強く抱きしめて大きく息を吐き出した。
 ――なんでこんなに似てるんだよ。
 本当に、驚くほど抱き心地がそっくりだった。目を閉じれば手のなかに居るのがペコだと錯覚しそうだ。
 スマイルは困って腕の力を抜き、また孔の頭を撫でる。孔はじっとうつむいてされるがままだ。
 額に唇が触れると驚いたように目を閉じて、孔はゆっくりと息を吐き出した。酔いのせいか、息が熱い。
「ん…っ」
 スマイルの指が耳の後ろをさすると、目を閉じたままかすかに悲鳴を洩らした。そうして指の動きに耐えるかのようにきつく目をつむり、じっと息を殺す。
 噛みしめた唇にスマイルは自分の唇を重ねる。孔は戸惑うように薄く目を開けてふと逃げる素振りを見せたが、それでも探るように見返すと、わずかに顔を上げた。
 もう一度唇を重ねた。
 スマイルは舌先でそっと孔の唇を舐める。身を震わせながら孔はその感触に耐えている。が、やがてこらえきれなくなり、ため息をつくように息を吐き出して静かに唇を開いた。スマイルはそこへ舌を差し入れて孔の舌を探った。
「ん…ん、」
 怯えたように孔の手がスマイルの腕を握りしめる。スマイルはその手を取り、組み合わせて握り返した。時折、舌が絡み合う感触に手は震えた。不思議と冷たい孔の手を強く握りながらスマイルは唇を離す。うっすらとこちらを見上げる瞳はかすかに潤んでいるように見えた。
「…目が、茶色だな」
「色素が薄いんだよ」
 そうしてみつめあったままスマイルは孔の手を引き寄せ、唇に押し当てた。舌先で手の甲を舐めると、びくりと孔の体が揺れた。
「嫌…?」
 孔はかすかに頬を染めてうつむいた。そうして、
「…嫌は、違う」
 小さく呟いた。
 スマイルは微笑むとそのまま孔の小指を口にくわえた。そうして舌でもてあそぶかのように口のなかで舐め回す。
「や…っ」
 孔はあわてて口に手を当てて、洩れ出る悲鳴を必死になって抑えた。舌が動くたびに孔の体は震え、嫌々をするように頭を振り、抑え切れないまま小さく悲鳴をあげ続けた。
 指から口を離すとようやく孔は安堵したように熱い息を吐き、涙のにじんだ瞳でまたスマイルを見上げた。そうして自分から唇を重ねてきた。さっきよりも激しく舌を絡め合う。スマイルは握り合っていた手を離すと孔の体を強く抱き寄せた。孔もスマイルの首筋に手を置いて、唇を重ねながら鼻にかかった甘い声を洩らす。
 スマイルは孔の体をベッドに横たえた。そうして首筋に唇を当てて、軽く吸い上げながら下へとおりていく。
「…ん…、あ…っ」
 Tシャツの裾に手を差し込むと、そっとさすりながら胸元を探る。小さな突起を探し当て、指でくすぐると孔は首をのけぞらせた。
「やっ…!」
 そのままTシャツをまくりあげて、あらわになった胸元に舌を這わせる。突起をちろりと舐めると、孔はあわててスマイルの肩に手をやり、押さえつけるように力を込めた。だがスマイルはもはや自分でも止めようがなかった。そのまま唇でそっとつまみ上げては舌先で舐める。
「は…っ、ん、ん…」
 もう一方を指で強くつまむと、びくんと孔の体がはねた。
「やぁ…っ、…あ…っ」
「嫌?」
 顔を上げてそう聞くと、孔は目の端に涙をにじませたままちらりとこちらを見て、そっぽを向いた。羞恥のせいか、頬が赤い。
 スマイルは微笑んで、孔のTシャツを脱がせた。乱れた髪を手で梳いて直してやりながら、ふと孔のことがいとおしくなり、同時に、滅茶苦茶にしてやりたいという欲求が湧き起こるのを感じた。
 髪に手を差し入れて唇を重ねる。孔は背中に抱きついてそれに応える。腰の辺りを探るスマイルの手の動きに敏感に反応しながら、孔はすがるように舌を絡ませてきた。唇を離すとスマイルは自分もTシャツを脱ぎ、床に放った。そうしてまた胸元に舌を這わせる。
 孔の体を裏返し、うなじをきつく吸い上げた。
「ん…っ」
 そうして胸元を探っていた手を下へとおろし、下着のなかへと差し入れ、膨らみ始めていた孔のものに手を触れた。
「やっ…、あ…っ!」
 孔は驚いたように顔を上げてシーツをつかむ。静かに加えられる刺激に、まるで嫌々をするかのように頭を振り、悲鳴を噛み殺す。
「…ん…っ、あ……ん、」
 着ているものを全部脱がせると、スマイルは再び孔のものを握り、刺激を加えながら双丘のあいだに舌を滑りこませた。
「は…! やっ、や…あぁ!」
 まるで逃げようとするかの如く孔が身をすくめた。スマイルは片足を押さえてなおも舌を使う。孔のものが熱を帯び、大きくなるのがわかった。先端に指を滑らせるとわずかに濡れている。そっと撫でさすりながらそれを広げてゆく。孔は首を振ってシーツに爪を立て、刺激に耐えた。
「あ…んっ、や…っ! や…ぁっ」
 たっぷりと湿らせておいて舌を引き、代わりに指を挿し入れる。
「はぁ…あ! あっ!」
 痩せた肩が震えている。スマイルは孔のものから手を離し、そのまま胸元を探りながら肩に唇を押し付ける。うなじを舐め上げて耳の後ろをくすぐると、
「や…っ」
 甘えたような声を洩らした。


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